すこやか美生活

【男女別】薄毛になってしまう原因と治療法

薄毛に悩む日本人の数は増加しており、特に男女ともに40~50代にかけてはその数と深刻度が増えてく傾向にあります。

薄毛の原因は1つではありません。

性別やライフスタイル、その他の理由によっていくつかの原因に分けられます。

ここでは、薄毛になってしまう原因と治療法を詳しく紹介します。

 

ヘアサイクル

髪の毛の生え変わりには、ヘアサイクル(毛周期)と呼ばれる3つのプロセスがあります。

休止期・成長期・退行期です。髪の成長が始まり、太く長い髪の毛(硬毛)となっていく段階が成長期です。通常この期間は約2~6年あり、一か月で約1~1.2cm伸びます。

その後約2週間の退行期に入り、髪のもっとも根元部分である毛球が退化します。

休止期(3~4か月)に入ると新たに生えてきた髪の毛が古い髪の毛の毛球を下から押し出し、脱毛に至ります。そして成長期に入り硬毛へと育っていくのです。

これが正常なヘアサイクルです。

 

一方、薄毛の場合は成長期が数か月~1年ほどしかありません。

つまり太く長い髪が育つ前に退行期に入るので、細く短い髪の毛(軟毛)しか育たないヘアサイクルができてしまうのです。

 

ではなぜヘアサイクルが乱れるのか。

その理由も含めて、薄毛の原因を3つ見ていきます。

 

薄毛の主な原因3つ

1.遺伝

薄毛の原因として広く知られている遺伝ですが、両親または両祖父母が薄毛だからと言って100%薄毛になるとは限りません。

男性ホルモンを受容するレセプター(受容体)が遺伝的に備わっているか・いないかで、発症の可能性が変わってきます。

 

髪の毛の成長を促すのは毛球の中にある毛母細胞です。成長期の毛母細胞は、同じく毛球にある毛乳頭から栄養をもらい発毛のために活発に働きます。

これを邪魔するのがジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモンです。

ジヒドロテストステロンは、元々人間の体に備わっている5αリダクサーゼ酵素の影響によりテストステロンから変化したものです。

テストステロンに比べて強力な男性ホルモンであるため、毛乳頭に入り込むことで正常なヘアサイクルに悪影響を与えることになります。

このジヒドロテストステロンが入り込む要因がレセプターであり、つまり薄毛に遺伝が関係していると言える理由なのです。

 

女性にも無関係ではありません。女性は加齢とともに髪を育てる女性ホルモンであるエストロゲンが減少します。

次第に男性ホルモンの働きが強くなるので、上記のような現象が起こる可能性が高まっていきます。

2.ストレス

厳密に言えば、ストレスそのものが原因なのではなくストレスにより体に起こる異常が薄毛の原因です。

異常とは、自律神経の乱れ、血行不良、不眠の症状の3つでこれらは互いに連関しています。

 

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。交感神経は日中など、人間が活動中に活発に働き、血管を収縮させて血圧を上げたり心臓の動きを早めたりする役割があります。

副交感神経は主に睡眠時に働き、血管を拡張させ体を温めます。前者は緊張状態、後者はリラックス状態です。

髪の毛が活発に発育するのは、頭皮の毛細血管に血液と栄養がスムーズに流れているリラックス状態の時、つまり睡眠時です。

反対に交感神経が夜に活発化すると、血管が収縮し栄養が行き渡らなくなり、十分な発毛効果が得られないのです。

 

さらに不眠状態が続くとそれがストレスとなり自律神経を乱していく、という負の連鎖に陥ります。

 

3.生活習慣

 

 

頭皮の毛細血管に異常を起こすという理由で、不規則な生活習慣も薄毛を誘発します。

1で成長期の毛母細胞は毛球内の毛乳頭から栄養をもらって発毛を促進させる、と言いました。毛球に栄養を送る毛乳頭は、その下の毛細血管から栄養をもらいます。

影響を与える生活習慣は次のようなものです。

  • 偏った食生活
  • 睡眠不足(夜更かし)
  • アルコールの過剰摂取
  • 喫煙

 

カロリーの高い食事は皮脂を過剰に分泌させ頭皮の皮脂腺を詰まらせます。

皮脂が溜まると健全な発毛を妨害したり、抜け毛を助長したりします。睡眠不足(夜更かし)が良くないのは、2で説明した通り自律神経による理由です。

 

アルコールは通常、肝臓でアセトアルデヒドという物質に代謝され、無毒な酢酸となります。

しかしアセトアルデヒトが溜まり過ぎると代謝が追い付かずに血中に流れ込み、男性ホルモンのジヒドロテストステロンの働きを強めてしまいます。

ジヒドロテストステロンが薄毛につながるメカニズムも1で説明したので省略します。

 

タバコには約70種類の発がん性物質が含まれていますが、そのうちの1つニコチンには血管を収縮させる作用があります。

血管収縮作用を持つトロンボキサンA2と呼ばれる物質がニコチンにより遊離されることがその要因の1つです。

またニコチンは副腎皮質を刺激することで、交感神経の働きを増長させる働きもあります。

 

治療法

薄毛治療ができる専門機関は大きく分けて2つあります。

AGAクリニック発毛・育毛サロンです。

 

AGAとは男性型脱毛症という意味ですが、女性の薄毛治療も並行して行っているクリニックがたくさんあります。AGAに対して女性の薄毛はFAGA(女子男性型脱毛症)と言います。

同じくヘアサイクルが乱れている状態にあるので専門的な治療が必要です。

びまん性脱毛症と呼ばれる、中高年の女性に多い薄毛症状がその代表的なものです。

 

AGAクリニックで一般的なのは薬の服用による治療で、過度な男性ホルモンの生成を抑制するフェナステリド(治療名:プロペシア)血管を拡張させ髪の毛の成長を促すミノキシジルといった薬が処方されることが一般的です。

この2つは医学的にも発毛の効果が認められている成分で信頼できるものです。

 

メソセラピーと呼ばれる治療法にも注目されています。毛根にグロースファクターと呼ばれる成長因子と頭皮の組織に必要な栄養素をダイレクトに注入し治療する方法です。

 

育毛・発毛サロンは医療機関ではないため、薬の処方やメソテラピーは行われません。専用シャンプーやスチームで頭皮に溜まった皮脂を取り除き、マッサージで血行促進を行います。

そこに育毛剤を塗布することで、より浸透効果を高める方法が一般的です。

育毛サロンは、治療ではなく頭皮のケアが中心ということになります。

 

まとめ

薄毛は栄養障害や代謝の異常、感染症、甲状腺などにかかわる病気で起こる場合もあります。

症状が薄毛だけでなく、倦怠感やめまいなど体全体にも異常がみられる場合は、皮膚科をはじめとした病院を受診することをお勧めします。