「花粉症を食べ物で改善する!」
半信半疑な人もいると思いますが、事実、健康・医療情報を提供する厚生労働省からも一部の食材が花粉症緩和に効果的であることが言及されています。
ここでおすすめする食材は花粉症の緩和だけでなく、体の健康をサポートするものばかりです。
飲み会や外食、不規則な生活などで栄養不足になりがちな人は、特に参考にしてください。
目次
花粉症のメカニズム
花粉症はアレルギーの一種です。
アレルギーとは、体に侵入した異物(抗原)を排除する免疫機能が、それを取り除こうとする際に過剰反応を起こしてしまうことです。異物を除去する働きを免疫とも呼びますが、両者は似て非なるもので、免疫が健全に働く場合は花粉症のような鼻水やくしゃみといった反応は出ずに体を守ってくれます。
花粉は目や鼻から侵入します。するとマクロファージという白血球が異常を感知し、伝令薬のT細胞(リンパ球)に知らせます。さらにそのT細胞がB細胞へその異常を知らせると、B細胞はIgE抗体と呼ばれるタンパク質を作ります。抗体とは異物(抗原)と闘う物質のことです。
さらにIgE抗体は、花粉が侵入してくると反応しやすい肥満細胞と結合します。
それにより肥満細胞からヒスタミンという物質が放出されるのですが、これが人の知覚神経を過剰に刺激し、くしゃみや鼻水など花粉症の症状を引き起こす原因となります。
花粉症治療で処方される薬に抗ヒスタミン薬が広く使われているのはそのためです。
さて花粉症の原因の1つであるヒスタミンや、その他アレルギー反応を起こす要因を抑制する食べ物にはどのようものがあるのでしょうか。
おすすめの食材8選
1.納豆
納豆に含まれる成分で効果的なものは乳酸菌とムチンです。
メカニズムで説明した肥満細胞の一部からはインターロイキン4という伝達物質が産生されます。花粉症はこの伝達のプロセスに異常があることでも起こります。
乳酸菌はその働きを正常に保ち、花粉に対しての免疫を高めてくれます。
納豆のネバネバの正体がムチンです。花粉症による鼻水やくしゃみが続くと、異物から鼻、目の角膜、消化器などを保護するための粘膜が十分に機能しなくなります。糖とタンパク質から成るムチンには粘膜を修復・保護する役割があります。
さらに炎症を抑えたり、タンパク質を吸収しやすくしたりする作用もあるため、体の各部分の異常に効果的に働きかけます。
2.シソ
シソには必須脂肪酸であるαリノレン酸という成分が含まれています。αリノレン酸は体内でEPA(エイコサペンタエン酸)に変化します。EPAには、プロスタグランジンやロイコトリエンといった物質の過剰反応を抑制する働きがあります。これらは花粉症による炎症を引き起こす原因物質です。
αリノレン酸は体内で自然生成されることはないので、食物から摂取する必要があります。シソの他にも、え胡麻やくるみなどにも多く含まれます。
3.魚介類
シソから摂取できるEPAは青魚を中心とした魚介類からも摂れます。DHA(ドコサヘキサエン酸)も多く含まれており、プロスタグランジンやロイコトリエンが過剰に産生されるのを抑えます。
さらに血栓の抑制や日本人の代表的な精神疾患であるうつ病などにも効果的と言われています。
EPAとDHAが不足すると、血小板などの細胞成分や脳・神経の働きを弱めたりすることがその理由です。
花粉症ではくしゃみや鼻水といった症状により、精神的にも辛くなることが多いので相乗的な効果があると言えます。
4.玉ねぎ
ケルセチン、フラクトオリゴ糖、チオスルフィネート。この3つが玉ねぎに含まれる花粉症に効果的な成分です。
ケルセチンは炎症を引き起こすプロスタグランジンを抑制します。また知覚神経を刺激するヒスタミンが肥満細胞から放出されることも防ぎます。健康サプリとしても有名なフラクトオリゴ糖は、腸内の善玉菌を活性化させることで体の免疫機能を高めます。
もちろん花粉アレルギーに対しても例外ではありません。
さらにチオスルフィネートには血小板の凝結を抑制し血流を促す作用、アレルギーに対する抗炎症作用があります。包丁で玉ねぎを切った時に涙が出るのは、このチオスルフィネートの影響によるものです。
5.きのこ
キノコには豊富なビタミンが含まれています。
ビタミンD、B1、B2 、B6などです。
特に、シイタケやマイタケ、キクラゲなどに多く含まれる脂溶性ビタミンであるビタミンDは、殺菌効果があることから皮膚や体内の免疫機能を向上させる働きがあります。
また日光により成分が増加する特徴から、サンシャインビタミンとも呼ばれます。
6.海藻類
腸内の善玉菌にはIgE抗体の正常な働きを助ける、抗菌、ビタミンを生成するといった様々な役割があります。海草類には水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)が多く含まれるものがたくさんあります。食物繊維が腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を抑制するので整腸作用による花粉症対策として効果的と言われます。
ひじき、わかめ、昆布、もずくなど身近な食材から摂取することができます。
7.柑橘類
柑橘類には毛細血管を強くする作用があるヘスペリジンと呼ばれる成分が含まれています。特に果物の皮やスジの部分に多く含まれており、熟す前のミカンや皮も食べられるポンカンなどがその一種です。
血管を強くする効果、血流を改善する効果があることから「ミカンの皮などをお風呂に入れると体が温まる」と言われるのはそのためです。
現代病と言われる冷え性も免疫を低下させ花粉症を悪化させる要因ですので、こうした使い方も有効です。
8.ヨーグルト
ヨーグルトから摂取できるメチル化カテキンという成分は、IgE抗体が花粉と過剰反応する働きを抑制する効果を持っています。
これが花粉症の症状の要因として繰り返し説明してきた、ヒスタミンの発生を抑えることにつながります。
またヨーグルトに含まれる乳酸菌には整腸作用があります。実際は乳酸菌そのものではなく、胃酸や胆汁によって死滅した乳酸菌が善玉菌のエサとなることで貢献します。
生活習慣の改善
これらの食材の効果は一度食べたからと言って発揮されるものではありません。毎日続けて摂取することにより、花粉への抗体が作られ免疫が強化されます。
また食べ続けていても栄養が吸収されない生活を繰り返していては効果が半減します。夜更かしで疲労蓄積、タバコのニコチンによる毒素の循環、アルコールによる脱水症状やアセトアルデヒトの増加などは特に大敵です。
花粉症でお悩みの方は、生活習慣を見直しながら食べ物での改善も試してみてください。